恋口の切りかた
堀口の真正面から近づいていた留玖が、
体を沈みこませるようにして、堀口の横に回りこむ。
刀を抜かないままで。
横手だ。りつ殿を盾にする形に動かす時間はない。
りつ殿のノドを切り裂(さ)けば──その時間しかない。
つまり留玖の攻撃を防ぐ動きがとれなくなる。
堀口は懐刀をりつ殿のノドからはなして、留玖の刀を受け止めようとし──
できなかった。
刀を抜き放つと同時に、ななめに斬り上げた留玖の刀が
堀口文七郎の体を逆袈裟に斬り裂いた。