恋口の切りかた


ふり向くと、俺が開け放ったままの障子の向こう、庭をはさんだ廊下からこちらを見て中間男が悲鳴を上げていた。



室内は壁にまで血しぶきが飛んでいて、

留玖は返り血で染まった服で、血でどろどろの抜き身の刀をぶら下げていて、

りつ様も返り血を浴びて座りこんでいるし、

さしこむ月明かりの中には斬られた堀口が転がっている。




マズい──と思ったが時すでに遅し。




たちまち屋敷は大さわぎになった。

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