恋口の切りかた
「物干竿はもうやめだ! 今度は武蔵だ武蔵!」


相手が何を言っているのかよくわからなくて、おれはキョトンとした。

「ムサシ?」


「……テンメェ、宮本武蔵も知らねーのかよ……。
巌流島だよ!」


「ああ、聞いたことある……」

ササキコジロウとミヤモトムサシ。

村のじいさまのお話を思い出して頷くと、目の前の少年は力の抜けたような、変な顔をした。
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