恋口の切りかた
 
 【剣】

「──で? 親父、わかるように説明しろよな」

漣太郎が言った。


あの後、大変なことになっている離れからはとりあえず移動して、

私やりつ様は返り血を落として、血だらけの着物を着替えて、


人払いをした母屋の一室で、私と漣太郎とりつ様は、
父上をかこんで座っていた。



りぃ、りぃ、と障子の向こうからは虫の声がしている。



ずっと溜め込んでいたものをすべてはき出すように、ひさびさに大泣きして

私は何だか胸にわだかまっていたつかえが取れて、スッキリした気分になっていた。


泣きすぎて、目もとやほっぺたがヒリヒリするけれど。
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