恋口の切りかた
「ったく、親父にあの覆面野郎に……今夜はつくづく自分が子供だって思い知らされたぜ」

漣太郎が、やれやれという感じでため息をついた。

「ほほーう、ようやく気がついたか」
と、ニヤニヤする父上。


「……クソ。

そう言えば結局、誰なんだよ、あの覆面野郎の暗殺をたくらんでいた首謀者ってのは。

親父も今晩、コソコソといったい何人斬ってきたんだ?」


憮然(ぶぜん)としながらそうたずねた漣太郎に、



「それは明日になれば、わかる」



と──父上は答えた。



「まあ、お前らも楽しみにしておけ」





そして──

次の日流れた事件の報は、平穏な城下に激震を走らせるものだった。
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