恋口の切りかた
振り向くと、

庭に面した廊下を、着流し姿の彼が歩いてくるところだった。

「何やってるんだ?」


相変わらずのぶっきらぼうなしゃべり方に、ちょっとするどい目。



もう漣太郎ではなくて──



「エンちゃん」

と、私は彼の名を呼ぶ。





結城円士郎。

それが、元服した漣太郎の名だった。

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