恋口の切りかた
「円士郎様は、そこの刀で人を斬りたいとお思いか?」


人斬りが人殺しと同じことだと冷静にわかっていながら──俺は、結局……


……留玖に、近づきたいと

たとえそれが人間失格の行いとしても、彼女と同じ経験を分かち合いたいと

同じ場所に立ちたいと──思う。



自分の中のどこから来る思いなのかよくわからなかったが、共に暮らしていて留玖の存在は俺にとってそのくらい大きくなっていた。


だから俺は


その天魔のような男の問いに、答えた。
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