恋口の切りかた
あ……何か聞いちゃマズいことだったのかな……。

「そっか。ごめんなさい」

私がしゅんとうなだれると、

そんな私に視線を戻して、


「ふーん」

と言いながら、円士郎は私を頭のてっぺんから足先までながめた。


……ななな何かな?


「お前さあ、たまには女の格好もしろよ」

たっぷり私に視線を注いだ後、円士郎はそんなことを言った。

もうすっかりなじんでしまったけれど、今日も私は男物の小袖に袴だ。


円士郎はニヤッとイタズラっぽく笑った。

「せっかく可愛いんだからよ」


えっ……。


「んーまあ、その格好も悪くねェけどな」

そう言って、円士郎はよしよしと私の頭をなでた。
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