恋口の切りかた
「えっ……ええっと……ええ……?」


私は一気にほっぺたが熱くなるのを感じて──


目の前に円士郎のはだけた胸元が見えて、

何だかそれが妙に色っぽく見えて……

どきどきしてしまった。


あ──
円士郎……背、高くなったなぁ、

と、ふと思った。


四年前までは、同じくらいの身長で
私の目線の位置には彼の頭があったのに……。

今ではすっかり追い抜かれてしまって、目線の高さには彼の肩がある。


しばらく頭が麻痺したみたいにぽーっとなってしまって……

「やっ……な、なに……っ?」

それから私は慌てて円士郎から離れた。

「ななななな……なに? 急に、変だよ、エン」


私の慌てふためいた様子を見て、円士郎は吹き出した。


「可愛い反応するよなァ……。昨日も思ったけどよ、留玖、お前男に慣れてなさすぎだぞ?」

円士郎は笑いながら、そんなことを言った。
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