恋口の切りかた
【漣】
信じられねえ……!
なんてやつだ、こいつ。
今、トウ丸が当たり前のように語ったことは、
俺が自分ではサッパリ考えつかなくて、今朝親父殿から教えられた内容そのままだったのだ。
「いいか、漣太郎。
居合いというのはな、まあ色んな説はあるが、基本的に打ち合いには向いていない」
朝、親父殿はそんな風に語った。
「不意打ちには向いているけどな。
だからまずは相手の一撃目を止めることを考えろ。
一撃目を止めることで、相手の刀を殺すんだ」
攻撃を止めることがそのまま相手の不意を突くことになるから、ここでこちらも打ち込めば当たる可能性が高い、と親父殿は続け──
ちょうど良い機会だと言って、うちの流派にある二刀流を即席で俺に教えてくれたわけだが……。