恋口の切りかた
 
 【漣】


信じられねえ……!

なんてやつだ、こいつ。


今、トウ丸が当たり前のように語ったことは、

俺が自分ではサッパリ考えつかなくて、今朝親父殿から教えられた内容そのままだったのだ。



「いいか、漣太郎。
居合いというのはな、まあ色んな説はあるが、基本的に打ち合いには向いていない」

朝、親父殿はそんな風に語った。


「不意打ちには向いているけどな。
だからまずは相手の一撃目を止めることを考えろ。
一撃目を止めることで、相手の刀を殺すんだ」

攻撃を止めることがそのまま相手の不意を突くことになるから、ここでこちらも打ち込めば当たる可能性が高い、と親父殿は続け──

ちょうど良い機会だと言って、うちの流派にある二刀流を即席で俺に教えてくれたわけだが……。
< 34 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop