恋口の切りかた
うーん。
金魚一つで大騒ぎしたり泣いたり……このへんは普通の女の子だよなァ、と思う。
人を七人も斬った少女には見えない。
でも、彼女は殺しているのだ。
「食べないもん。鯉さんは金魚なんか食べないもんっ」
そう言ってポロポロ涙をこぼしている留玖が、妙に愛おしく思えて、
「わかった、わかった──」
俺はよしよしと再び留玖の頭をなでてやって、それから泣いている留玖をぐいっと抱き寄せた。
「やっ……え、エン?」
留玖は俺の腕の中で少しもがいた。
耳が赤くなっている。
「わかったから、泣くなって」
俺は、そう言いながら留玖の頭を自分の胸に押しつけた。
「う、うん……」
留玖がうなずく。
泣いてる留玖を見て、こうしたいと思ったのは──
妹を慰めたいと思う兄としての感情からなのか、
それとも──昨日の夜、あの後に俺が……
「食べてない、食べてない。きっと金魚はどっかにかくれてんだろ」
俺はそう言って、留玖の頭をなでてやって──
「これは、食べられちまいましたね」
昼過ぎに今日も屋敷を訪れた金魚屋は、留玖に無情な現実を告げた。
金魚一つで大騒ぎしたり泣いたり……このへんは普通の女の子だよなァ、と思う。
人を七人も斬った少女には見えない。
でも、彼女は殺しているのだ。
「食べないもん。鯉さんは金魚なんか食べないもんっ」
そう言ってポロポロ涙をこぼしている留玖が、妙に愛おしく思えて、
「わかった、わかった──」
俺はよしよしと再び留玖の頭をなでてやって、それから泣いている留玖をぐいっと抱き寄せた。
「やっ……え、エン?」
留玖は俺の腕の中で少しもがいた。
耳が赤くなっている。
「わかったから、泣くなって」
俺は、そう言いながら留玖の頭を自分の胸に押しつけた。
「う、うん……」
留玖がうなずく。
泣いてる留玖を見て、こうしたいと思ったのは──
妹を慰めたいと思う兄としての感情からなのか、
それとも──昨日の夜、あの後に俺が……
「食べてない、食べてない。きっと金魚はどっかにかくれてんだろ」
俺はそう言って、留玖の頭をなでてやって──
「これは、食べられちまいましたね」
昼過ぎに今日も屋敷を訪れた金魚屋は、留玖に無情な現実を告げた。