恋口の切りかた
私のこの部屋も庭に面していて、障子を開ければ庭を囲む廊下に出る。
ほどなく障子が開いて、庭に畏まった遊水の姿が見えた。
おや、と私と円士郎の様子に遊水は目を丸くした。
「これは──なかなか焼ける図ですね」
円士郎に抱き寄せられたままだったので、私はちょっと恥ずかしくて頬が火照るのを感じた。
対照的に円士郎の顔色はいつもどおりに戻っていて、彼は平然と「だろ?」と言ってふふんと笑った。
「今日は、おつるぎ様はお加減でも?」
「ああ、風邪だ」
円士郎が答えて、──続けて言った。
「だから今日はやめだ」
その言葉を聞いて、私の肩が強ばる。
一瞬の震えが伝わったのか、円士郎は肩に回した腕にぎゅっと力を込めてくれた。
遊水は顔をしかめた。
「やめ、ですか」
「ああ、やめだ」
無意識にまた円士郎にしがみついていた私を見下ろして、円士郎は何やら嬉しそうな顔になって、
「こんな状態の留玖を放って行けねえ」
と、先程と似たようなことを言った。
遊水はしばらく私たちを眺めて、更に渋い顔をした。
ほどなく障子が開いて、庭に畏まった遊水の姿が見えた。
おや、と私と円士郎の様子に遊水は目を丸くした。
「これは──なかなか焼ける図ですね」
円士郎に抱き寄せられたままだったので、私はちょっと恥ずかしくて頬が火照るのを感じた。
対照的に円士郎の顔色はいつもどおりに戻っていて、彼は平然と「だろ?」と言ってふふんと笑った。
「今日は、おつるぎ様はお加減でも?」
「ああ、風邪だ」
円士郎が答えて、──続けて言った。
「だから今日はやめだ」
その言葉を聞いて、私の肩が強ばる。
一瞬の震えが伝わったのか、円士郎は肩に回した腕にぎゅっと力を込めてくれた。
遊水は顔をしかめた。
「やめ、ですか」
「ああ、やめだ」
無意識にまた円士郎にしがみついていた私を見下ろして、円士郎は何やら嬉しそうな顔になって、
「こんな状態の留玖を放って行けねえ」
と、先程と似たようなことを言った。
遊水はしばらく私たちを眺めて、更に渋い顔をした。