恋口の切りかた
「……お前って、ひょっとしてすごいやつ?」

今度は俺がびびる番だった。


そんなことないよぉ、とトウ丸は照れて、

「おれも、こんなにすぐやぶられるなんて思わなかった。
きみのほうがすごいよ」

「そ、そうか?」


これは俺が凄いと言うより、親父殿から教えられただけなのだが。

うーん、こいつって結構いいやつかもしれないな。


「またおれと勝負してくれる?
きみ、ええとレン……何だっけ名前……? 」

「あれ? オレ、名乗ってなかったか?」


しまった! 俺としたことが……武士が名も明かさず勝負とは。


「ようし、良く聞けよ!

オレ様の名前は、鏡神流の結城晴蔵だ!!」
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