恋口の切りかた
【刀】
おれは首をかたむけた。
聞いたことのある名前だ。
「ユウキセイゾウ?」
「そうだ!」
「違うよ?」
だって、この名前は──。
「ユウキセイゾウ様は、ここらを治める領主様のお名前だよ?
それにみんなはきみのこと、そんな名前で呼んでたかなぁ……」
「……い、今は確かに親父の名前だけどな!
いずれ元服して道場を継いだら、オレがもらう名前なんだ!
オレの名前になるんだ!」
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