恋口の切りかた
「え?」

おれはポカンとなる。

一瞬、聞きまちがえたかと思ったのだ。


おれの顔を見た少年は、何を思ったか慌てたように言い直した。

「……悪かったな! 漣太郎だよ!
オレ様は結城晴蔵の息子、結城漣太郎様だ! 覚えとけ」


聞きまちがいではなかった。

すうっと背中が冷たくなる。


なんてことだろう。

ようやくおれは、自分がとんでもないことをしでかしたのに気がついた。


自分がここ数日、


何度も返り討ちにして

散々棒きれでぶんなぐり、

ありとあらゆる無礼をはたらいた相手は、


ユウキセイゾウの──


「息子──? きみ、領主様の子供なの?」


自分はこの場で手打ちにされても当然だった。
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