恋口の切りかた




次の瞬間、





ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダンッ!

──という振動と音とが橋から伝わってきて、私の視界から一瞬で侍が消えた。



「何やってくれてんだテメェはァッ!!」



続けてその場に飛び込んできた耳慣れたいつもの響きに、

私は不思議な安堵と共に全身の緊張が解けていくのを感じた。



「野っ郎ォ──この俺様の妹と友達にこんな真似して、ただで済むと思ってんじゃねえだろうなァ!」



鬼のような形相で真夜中の橋の上に仁王立ちになり

円士郎は、吹っ飛ばした相手に向かってそんな怒号を浴びせた。
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