恋口の切りかた
「あ──」

ようやく、私は自分が大きな勘違いをしていたことに気がついた。


しかし、だとすると──

「でも……でも、それじゃあどうして……」

疑問は山のようにあったけれど、


「説明は後だ」

と言って、円士郎は刀を構えた。


「おのれ──また相手が増えるとは……」

突然乱入してきた円士郎に、侍が苦々しそうに目をすがめて刀を向けた。


「気をつけろ」

円士郎に遊水が、忠告した。

「どこかにもう一人潜んでるぜ。毒手裏剣を使う奴だ」
「なに!?」

刀を構えたまま、円士郎は横目で遊水の様子を一瞥(いちべつ)し、

「忍か? まさかあんた──」
「ああ、そいつにやられた」


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