恋口の切りかた
街道沿いに出没……?

どういうことだろう。
この男たちは、この辺りの人間ではないということだろうか。

「どうもわかんねえんだよなァ、てめえら」

円士郎は刀を構えたまま、対峙する相手をしげしげと眺めた。

「辻斬りってのは普通、通りかかった通行人を無差別に襲うもんじゃねーのか?

それが腕に覚えのある連中ばかり狙って──しかも、事前に狙った相手に果たし状を送りつけて呼び出すなんてな」

円士郎の語った話は、全て私が初めて聞く内容だった。

どうして──なんで、円士郎はそんなことを知ってるんだろう?



「噂を……耳にしましてね」

私が円士郎と見知らぬ侍を見比べていたら、青白い顔で遊水が口を開いた。

「遊水さん……」

「ここ一年、各地で達人ばかりを狙った奇妙な辻斬りが続いている。
それがどうも街道沿いに移動しながら人を斬っているらしい。

最近、その辻斬りがこの城下に入ったと」
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