恋口の切りかた
白々とした十六夜の月光の下、侍は──



髭面を、笑みの形に歪めた。



とてもとても穏やかな


何かに陶然と浸っているかのような


故に、その顔で侍が返してきた答えにぞっとするような、



そんな表情で、




「千人斬りだ」




円士郎の問いに、男はそう答えた。
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