恋口の切りかた
「どうして……薬をくれるの!?」

私は、わからなくて忍に尋ねた。

都築は、彼を斬り伏せても薬は手に入らないと言ったのに。


「おつるぎ様」と言って、
忍は、覆面から覗いた冷たい目を私に向けた。

「動きが止まった結城円士郎様を橋板の隙間から狙おうとしたあのとき、直上からの牽制は見事だった。

外せば都築様に当たる一撃……。
集中力が乱れ打てなかった一瞬で、都築様は殺された。

まるでそれがわかっていたかのように、迷わず都築様を斬った円士郎様と言い──見事。

それにそっちの紅毛の男」

相変わらず淡々とした感情のこもらない声音で言って、冷たい二つの輝きは金の髪の金魚屋を映し──


初めて忍の口調は怪訝そうな響きになった。


「正直、その薬無しで今まで放置されて、貴様が何故まだ意識を保って生きているのか──理解できん。

その毒は確かにわずかな時間、問答の猶予を与えるが、その時間はとうに過ぎている。

何か自分で薬を飲んでいたな。
毒消しか?」

「……ああ」


私は驚いて遊水を振り返った。
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