恋口の切りかた
 
 【刀】

領主様の子供に謝られて、おれは再び震え上がってしまった。

「い、いえ! ごめんなさい、領主様のお子さまにまた失礼なことを……」

「あァもう、わかったからよ!」

少年はイライラした様子で、手にした木刀の片方をビュッとひと振りした。


「とにかくそれはやめろよ」

「それ、とは?」


何だろう。


目の前の相手は怒っている。

自分は何かまたとても失礼なことをしてしまったのだろうか。


「そんな口の利き方だよ!

オレに負けて家来になったんならともかく、オレ、てめえにまだ一勝六敗だぞ!?

負けてる相手にヘコヘコされても嬉しくねえ……っていうか腹が立つぞ!」


予想外のお言葉におれはびっくりした。
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