恋口の切りかた
男の養子として届け出てあった名前は刀丸。
つまり私の昔の名前だった。
……確かに男の子っぽい名前だって、円士郎も言ってたもんなぁ。
そして、私が父上から戴いた諱は
──「成剣」。
結城成剣というのが、私の男としての名前だった。
通称は虹庵が昔名乗っていたという「十兵衛」をそのままもらって、結城十兵衛。
そして、男として元服したということは
私が、円士郎や冬馬と同じように
正式に帯刀を許されたということだった。
母上は目を吊り上げて、鬼女の如くの面相で怒り狂っていたけれど──
うう……怖かった。
でも円士郎は、二本差し姿の私を見て
「おお、似合うじゃねえか!」
と喜んでくれて──えへへ、ちょっと嬉しい。
結城家の道場に奇妙な訪問者が現れたのは、
私と冬馬のそんな元服が済んで、
十七となった睦月のある日のことだった。
つまり私の昔の名前だった。
……確かに男の子っぽい名前だって、円士郎も言ってたもんなぁ。
そして、私が父上から戴いた諱は
──「成剣」。
結城成剣というのが、私の男としての名前だった。
通称は虹庵が昔名乗っていたという「十兵衛」をそのままもらって、結城十兵衛。
そして、男として元服したということは
私が、円士郎や冬馬と同じように
正式に帯刀を許されたということだった。
母上は目を吊り上げて、鬼女の如くの面相で怒り狂っていたけれど──
うう……怖かった。
でも円士郎は、二本差し姿の私を見て
「おお、似合うじゃねえか!」
と喜んでくれて──えへへ、ちょっと嬉しい。
結城家の道場に奇妙な訪問者が現れたのは、
私と冬馬のそんな元服が済んで、
十七となった睦月のある日のことだった。