恋口の切りかた
「どうだ? 気に入ったか?」

トウ丸は満面の笑みを俺に向けた。


「うん! 刀丸! レンタロー、ありがとう!!」

「お? おう」


凄く嬉しそうだ。

「刀丸、刀丸……」

何度もつぶやきながら、地面に漢字を書いている。


こんなに喜んでもらえると、何だかくすぐったいような気がするな。

でも、さっき平伏された時とは違って悪くない。

胸の辺りが温かくなる感じだ。


「ありがとう! レンタロー」

「……呼びづらそうだから、レンでいいぜ」


そう言えば俺、誰かからこうして感謝されたことってほとんどねえ……。

自分の短い人生を振り返って、ちょっと落ち込む俺。
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