恋口の切りかた
「十七!? おいおい、それはまた随分童顔な……ん?」


ここで、若者は何かに気がついた様子で言葉を切った。


「んん?」


ジーッと、私の胸の辺りに視線を送っている。


「んんん!?」


「やっ……」

私は思わず両手で自分の胸を庇った。


「なななな何ですか……!」

「お前、まさか──」


男は衝撃を受けた様子で私を指さした。



「お、女か!?」


ぎょっとしたように、他の道場破りたちも一斉に私を見た。


「細身の体躯で凄腕の剣の使い手……結城家の令嬢──まさか

──お前が結城のおつるぎ様か!?」


私はこくん、と頷いて、


いきなり、目の前の鎧武者にガッシャと両手をつかまれた。

鎧武者は私の両手を握りしめたまま、ずいっと顔を近づけて、


言った。



「惚れた! 是非ボクと勝負してくれ」



──へ?



「いや、むしろ嫁に来てくれ」
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