恋口の切りかた
「おのれ、よくもボクのごおぐる試作品第三号を……」
鬼之介は円士郎を睨みつけた。
……試作品の三号だったんだ、それ。
「許さんぞ、結城円士郎──!
ボクの目からごおぐるを外したこと、後悔させてくれる」
「何だそりゃ」
円士郎はせせら笑って、
「おう、やってみろや」
と言って、刀を構えた。
両者が睨み合い──
「その太刀筋──宮川って……
まさか、そいつァ──宮川家の例の次男坊か!」
声を上げたのは遊水だった。
知っている人だったのかな……?
遊水お得意の怪しい知識だろうか。
「ああ、そうか」
と、虹庵も何かを思い出した様子で言った。
「留玖や円士郎と同じくらいの歳の──ほら、源次郎君という子がいただろう」
え?
急に懐かしい名前が出てきた。
確かに昔、寺子屋に通っていた頃、円士郎と同い年の源次郎という武士の子がいた。
「ゲンジロウには勝ったけど」
「源次郎に!?」
初めて円士郎と出会った時の会話が、脳裏に浮かんだ。
源次郎の家は確か無想流槍術の道場をやっていて、
源次郎は──今はもちろん元服して名前も変わっているのだろうけれど──
結構強い槍の使い手に成長したと聞いている。
「この者は、源次郎君の一つ上の兄だよ」
虹庵はそう言った。
鬼之介は円士郎を睨みつけた。
……試作品の三号だったんだ、それ。
「許さんぞ、結城円士郎──!
ボクの目からごおぐるを外したこと、後悔させてくれる」
「何だそりゃ」
円士郎はせせら笑って、
「おう、やってみろや」
と言って、刀を構えた。
両者が睨み合い──
「その太刀筋──宮川って……
まさか、そいつァ──宮川家の例の次男坊か!」
声を上げたのは遊水だった。
知っている人だったのかな……?
遊水お得意の怪しい知識だろうか。
「ああ、そうか」
と、虹庵も何かを思い出した様子で言った。
「留玖や円士郎と同じくらいの歳の──ほら、源次郎君という子がいただろう」
え?
急に懐かしい名前が出てきた。
確かに昔、寺子屋に通っていた頃、円士郎と同い年の源次郎という武士の子がいた。
「ゲンジロウには勝ったけど」
「源次郎に!?」
初めて円士郎と出会った時の会話が、脳裏に浮かんだ。
源次郎の家は確か無想流槍術の道場をやっていて、
源次郎は──今はもちろん元服して名前も変わっているのだろうけれど──
結構強い槍の使い手に成長したと聞いている。
「この者は、源次郎君の一つ上の兄だよ」
虹庵はそう言った。