恋口の切りかた
こいつ、勝負のさなかに──

「てめぇ、何のつもりだ?」

舐めきっているとしか思えない態度に、頭に血が上るのを感じながら俺が問い、


「おいコラ!」
「あれほど言ったのに宮川!」

他の道場破りの仲間たちが、
何やら慌てたような、
始めから諦めていたような──

そんな様子で頭を抱えた。


鬼之介は、そんな仲間の反応も全く意に介さず、
動けない俺に向かって嬉々とした態度で言った。

「さっきの礼をたっぷりしてやると言ったハズだ!
ここからは、このボクも本気でやらせてもらうぞ」

「…………?」



本気でやるのに何で刀を納めるんだ?



などと理解できないでいると、


鬼之助は俺に向かってやおらガシャリと片手を突き出し、
肘の当たりに巻き付いていた紐を引っ張って、


「食らえ! 必殺飛翔拳!」


と叫んだ。
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