恋口の切りかた
「他の村とか、上方ではよくあるんだって。

子供がたくさん生まれすぎて、食わせる飯がなくて、子供を人買いに売るの」

「売られたらどうなるんだ?」

「知らない。
どっか遠くの町に連れて行かれて、帰って来られないんだって」


こ……怖ぇええ……。


俺はあらためて、将軍様や殿様や親父殿に感謝した。

刀丸が俺の知らない町に売り飛ばされていなくなるのは、さすがにいやだ。


たった一人の大事な友達だし。


「農民の子って大変なんだな」



これからは農民の子供をぶっ叩くのはもうやめようかな、と思った。
< 60 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop