恋口の切りかた
「ま、女の話は置いておいて……あの鬼の字の旦那には、ちょいと訊きたいことがあってね」

遊水は話題を戻して、渋面を作った。

ちょうど鬼之介の長屋の前に着いた。

「事によっちゃあ、円士郎様にはこの場であの旦那を斬り捨ててもらうことになるかもしれん」

突然の話に俺は目を剥いて──





目の前の長屋を揺らして爆音が轟いた。





何事だ──!?

唖然としながら長屋を眺めていると、


鬼之介の部屋の戸が開いて、
もうもうたる粉塵と一緒に、杖をついた鬼之介がよろめきつつ転がり出てきた。


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