恋口の切りかた
な……何だァ!?
げほげほごほごほ、鬼之介は戸口の前で盛大にむせ返り、
「宮川さん、またアンタかい!」
すっ飛んできた白髪の爺サマに、何やら怒鳴られていた。
「こ……これはこれは大家殿……」
「アンタねえ、困るよ!
御武家様の次男坊だか何だか知らないけどねえ、いつもいつも家賃は滞納する、ヘンなモノ作って騒ぎは起こすじゃあ」
「ヘンなモノとは失敬な! ボクの発明品に対して……」
「何が発明品かェ! イイ歳して部屋に閉じこもって毎日毎日……!
ご実家を飛び出して来たんなら、口入れ屋でも何でも当たって働いたらどうなんだい!」
顔を怒りに赤く染めた爺さんは、生ツバを飛ばして鬼之介に説教を食らわせ、
「次にこんな騒ぎを起こしたら、即刻出てってもらうからね!」
そんな言葉を残して立ち去って行った。
鬼之介は粉塵にまみれた着物をはたいて、
「おのれ、また失敗したか……ん?」
呆気にとられている俺に気づいた様子で、顔につけていた「ごおぐる」を額に押し上げてこちらを見た。
「何やってんだ、テメエ……」
焦げて、いつにも増してチリチリになって爆発している鬼之介の頭を眺め、俺は頬を強ばらせた。
げほげほごほごほ、鬼之介は戸口の前で盛大にむせ返り、
「宮川さん、またアンタかい!」
すっ飛んできた白髪の爺サマに、何やら怒鳴られていた。
「こ……これはこれは大家殿……」
「アンタねえ、困るよ!
御武家様の次男坊だか何だか知らないけどねえ、いつもいつも家賃は滞納する、ヘンなモノ作って騒ぎは起こすじゃあ」
「ヘンなモノとは失敬な! ボクの発明品に対して……」
「何が発明品かェ! イイ歳して部屋に閉じこもって毎日毎日……!
ご実家を飛び出して来たんなら、口入れ屋でも何でも当たって働いたらどうなんだい!」
顔を怒りに赤く染めた爺さんは、生ツバを飛ばして鬼之介に説教を食らわせ、
「次にこんな騒ぎを起こしたら、即刻出てってもらうからね!」
そんな言葉を残して立ち去って行った。
鬼之介は粉塵にまみれた着物をはたいて、
「おのれ、また失敗したか……ん?」
呆気にとられている俺に気づいた様子で、顔につけていた「ごおぐる」を額に押し上げてこちらを見た。
「何やってんだ、テメエ……」
焦げて、いつにも増してチリチリになって爆発している鬼之介の頭を眺め、俺は頬を強ばらせた。