恋口の切りかた
「鬼の字の旦那、アンタ──
自分の発明品の効果を試したくて
小悪党どもと組んで道場破りをやってたじゃないか」


遊水はニヤニヤしつつも
鬼之介の反応を瞬き一つに至るまで見逃さず観察している様子で言った。


「なのに今さら、どの口で
発明のために殺しはやってないと言いやがる。

ご自分の言葉に説得力がねえって自覚してんのかい?」


ぐっ……と、鬼之介は痛いところを突かれて一瞬詰まり──


「ボクはやっていない……!」


奥歯をギリギリ噛みながら、それでも言いきった。


「ボクはそこの円士郎様と、悪事からは足を洗うと約束したのだ……武士に二言は無い!」


「ほほう? これはこれは」

遊水はせせら笑った。

「また随分と都合良く武士道精神を持ち出すもんだぜ」


「なにィ!?」


鬼之介が、今度こそ抜刀して斬りつけかねない激怒した声を上げて──


「俺は鬼之介を信じるぜ」

俺はそう言った。

「こいつはやってねーよ、遊水。
そんな真似をするような奴じゃねえ」

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