恋口の切りかた
人間に──?



人為的って……

円士郎は今のを、人間の仕業だと考えているってことなんだろうか。



あんなの──


改めてさっきの光景を思い出し、ブルッと身震いした。

──あんなの、人間にできる真似とは思えない。




フン、と鬼之介は鼻を鳴らした。


「では逆に問うが、仮にあれが人為的なものではないとすると──貴様は何だと思うのだ?」


鬼之介の問いは、
私の考えに対する言葉のようでもあった。


人の仕業じゃなかったら……

それは……


背筋がすうっと冷たくなる。


「何かの祟りか? ばけものの仕業か?
フン、真っ昼間から馬鹿馬鹿しい!
生憎とボクはそんなモノ信じていない!」


鬼之介は勇ましく豪語した。


「この世にはそんなモノは存在しないのだ!
そうだ! そっそそそ……存在してたまるか……ッ!」


何故か膝が笑っていたりするけれど、怪我がまだ治りきっていないからかな……。

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