恋口の切りかた
「人間にできる真似か、だと?
ああ、そのとおりだ! そうに決まっている!」


鬼之介は大声を張り上げて、


「こ、これは学問に対する挑戦状だ!
見ていろ!
このボクがいかなる手段か明らかにしてやるぞ……!」


何やら一人で宣言すると「こうしてはおれん」とか言って、きびすを返し──



立ち止まって私を振り向いた。


「楽しみにしていてくれ、『留玖』殿!」

「えっ……?」


急に名前を呼ばれて私はびっくりして、


「てめえ! なに馴れ馴れしく呼んでんだ!」


激怒した円士郎が鉄下駄で跳び蹴りを食らわせて、

悲鳴と共に鬼之介は太鼓橋をたもとまで転がり落ちていった。




「クソ、敵ばっかりかよ」

ぽかんとしている私にチラッと視線を送って、円士郎は小さくそう毒づいた。
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