恋口の切りかた
「え、エンこそ、怒ってるでしょ」

「俺?」

「わ……私のこと、嫌いになった?」


唇を噛んで震える声を絞り出すと、円士郎が立ち止まって振り返った。

円士郎は驚いたように、目を丸くしていた。


「なんで、俺がお前を嫌うんだ?」

「だって……」

「俺は──絶対に、お前を嫌いになんかならねえよ」


円士郎は真剣な目で私を見て、キッパリと言い切った。







「死ぬまで、嫌いにならない」
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