恋口の切りかた
五、大晦日のジケン
【漣】
俺が事件のことを知ったのは、
年が明けた正月の朝──
全てが終わってしまった後のことだった。
刀丸の村が盗賊に襲われた。
話を聞いて、
周りの者が止めるのも聞かず
夢中で走って村にたどり着いた俺が目にしたのは
前夜から降り積もった新雪の上に広がった赤い色──
体中から、竹槍や鎌や刀を生やして絶命している六つの死体と、
片手に血に染まった抜き身の刀を握りしめたまま、
全身血まみれで
泣きながら家の戸を叩き続けている刀丸の姿だった。