恋口の切りかた
円士郎はそう言ったけれど──
人形の屋台なんて、
私にはそれはそれで
気持ち悪くて
不気味で、
やっぱり怖かった。
再び震えが背中から這い上ってきて、
私はぎゅっと目を閉じて
忘れよう、忘れようと念じた。
「意外だ」
ふいに、横から円士郎が可笑しそうに囁くのが聞こえて、
え? と思ったら、
「本っ当に怖がりなんだな」
布団の中から伸びてきた円士郎の腕が私の肩を抱いて、
私はころりんと転がされて、
目を開いたら、目の前に円士郎の胸があった。
少しはだけて、襟の所から鎖骨が見えている。
視線を少し動かすと、至近距離で円士郎と目が合う。
円士郎はそのまま片腕を私の肩に回して、私を抱いたままで、
私は逃げることもできなくて、
もう一回ぎゅっと目を瞑って、
固まっていたら、円士郎からお腹を震わせるような振動が伝わってきた。
「可愛いな。そんなカチコチになるなよ。俺も『今回は』何もしねえって」
人形の屋台なんて、
私にはそれはそれで
気持ち悪くて
不気味で、
やっぱり怖かった。
再び震えが背中から這い上ってきて、
私はぎゅっと目を閉じて
忘れよう、忘れようと念じた。
「意外だ」
ふいに、横から円士郎が可笑しそうに囁くのが聞こえて、
え? と思ったら、
「本っ当に怖がりなんだな」
布団の中から伸びてきた円士郎の腕が私の肩を抱いて、
私はころりんと転がされて、
目を開いたら、目の前に円士郎の胸があった。
少しはだけて、襟の所から鎖骨が見えている。
視線を少し動かすと、至近距離で円士郎と目が合う。
円士郎はそのまま片腕を私の肩に回して、私を抱いたままで、
私は逃げることもできなくて、
もう一回ぎゅっと目を瞑って、
固まっていたら、円士郎からお腹を震わせるような振動が伝わってきた。
「可愛いな。そんなカチコチになるなよ。俺も『今回は』何もしねえって」