恋口の切りかた
【円】
寝ぼけ半分だったのだろうが……
いきなり留玖が甘えるようにくっついてきて、
それまでの余裕は吹っ飛び、俺はガチガチに緊張してしまった。
すうすう寝息を立て始めた留玖の可愛い寝顔を間近に見つめつつ、寝返り一つ打つこともままならず──
その夜、
結局俺は一睡もできず、
明け方に布団を抜け出して
道場で一人延々と素振りをし続けるハメになったのだった。
我ながら情けない。
くそ……
こんなことで、
本当に留玖を俺に惚れさせることができるのだろうか。