恋口の切りかた
私がベソをかき始めたら、

「まあ、そうなんだけどよ。それも不公平だろ」

と、円士郎が今宵の発言の中で唯一とも言える素晴らしい意見を口にしてくれた。


彼は、

鳥英は遊水と、
私は円士郎と、

そして

風佳は冬馬と回るのがいいだろうと言って──


私は「えっ」と思って風佳と冬馬を見た。


「ちょっと待て」

鬼之介が異議を申し立てた。

「風佳殿は円士郎様の許嫁だと聞いたぞ。
弟君が相手をするのもおかしな話ではないか!
ここは風佳殿は円士郎様と回ってだな、ボクが留玖殿と回るのが道理だと思うがな!」

……それはちょっと嫌かも。

鬼之介には失礼だけれど、私は鬼之介から少し離れた。


でも、彼が口にした内容自体はもっともだった。


「うるせーなァ」と円士郎は鬼之介を睨んで、

「さっきの有様でてめえが留玖を守れんのかよ。
ガタガタ抜かすとここでてめえの醜態、暴露するぜ」

「さあて諸君! 円士郎様の仰せのとおりの組で城下を回ろうではないか!」


あれ!?

急に鬼之介があっさり意見をひるがえしたので私はびっくりした。


暴露って何のことだろう……。
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