恋口の切りかた
宗助はあの部屋を一人でもう少し調べてみたいなどと、私にとっては信じがたい豪胆な申し出を円士郎にして、円士郎は二つ返事でそれを許した。

元々、夜に一人でうろうろすることが日常の忍には肝試しなど無意味だと思っていた円士郎は、宗助には怪談だけ参加させるつもりでいたらしい。


結局──

円士郎と私、遊水と鳥英、冬馬と風佳、鬼之介一人の四組で肝試しは決行されることになった。

肝試しのやり方は、一組ずつ時間をおいて城下に出かけて行き、

最初の組が三枚のフダをそれぞれの七不思議の場所に置いてきて、次の組からはそれを一枚ずつ回収してくる、というものだった。


遊水が、ススキ野と竹林、川縁は範囲が漠然としすぎているし、広すぎてフダが見つからない場合があると指摘して、

その三箇所を除き、狐の屋台と焼死に関しては場所の特定など当然できていないため、

最終的に、今回は二箇所だけ回ることに決まった。


私は少しだけホッとしたけれど、


死体の尼僧が徘徊する浄泉寺。

丑の刻参りの鬼女が出没する水神様の神社。


やっぱりどちらも嫌だった。


順番は、

遊水と鳥英が最初にフダを置いて回り、ついでだからそのまま鳥英を長屋まで送り届けてくると遊水が言って、残りの三組は冬馬と風佳、円士郎と私、鬼之介の順で回って屋敷に戻ってくることになった。


恐怖に震えていると、最初に遊水と回る予定の鳥英が

「相談なのだが……」

と、私に話しかけてきた。
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