君があたしにくれたもの
朔弥にフラれたあたしは、朔弥の後ろ姿を見送った後、とぼとぼと家に向かって歩きだした。





冷たい風が頬に当たるほどに、これは夢なんかじゃないとあたしに教えた。

ただ頭にあることは後悔だけだった。

告白なんかしなきゃよかった。






絶対に成功する、なんて思ってなかった。


ただ、好きで。
それだけだった。
気持ちを伝えたい。
ただ、それだけだった。


でも、そんな気持ちは間違っていた。



フラれてしまうなら、好きだという気持ちなんか、伝えなきゃよかった。

気持ちを伝えて、君があたしから離れていってしまうなら、伝えない方が幸せだった。
君が、あたしのそばに、どんな形だったとしてもいてくれるなら、友達でよかった。
朔弥の妹みたいな存在のままでよかった。




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