君があたしにくれたもの
ガタンゴトンと電車が動き始めた。
なんや変な感じ。今隣にいるのは今日球場で会っただけの、全く知らん男の子。
やのにこんな喋って、なんか隣に座ってて…。
「あのさっ」
突然彼が話し掛けてきて、彩夏は少し驚いて返事をする。
「はい」
「名前、聞いてもいっすか?」
あぁ、名前。そういえば聞いてなかった。
「日向彩夏。そっちは??」
「矢野空広(ヤノタカヒロ)」
「いくつですか??」
「15」
「じゃあ、同い年でやね。やから敬語じゃなくてええよ。あたしも敬語やめるし。」
そう言った彩夏に彼は驚いた顔をした。
「え!?同い年なんっ!!??」
「うん」
変なリアクションを取る彼を不審に思いながら彩夏は頷いた。
「うわー。ずっと年下や思てたわ。」
「やっぱり。せやろなあ、とは思てたわ。あたしいっつも実際より下に見られんねん。」
背が小さいこともあってか、いつも年下に見られてしまう。
まず、年上に見られたことが一度もない。
「ごめんごめん(笑)でも、老けて見られるよりはええやん。」
「そうかな…。」
彩夏は不服そうに唇をとがらせた。
「そうそう!やからあんま気にしたあかんで」
そう言ってニカッと笑った彼の笑顔に、一瞬彩夏は見とれた。




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