君があたしにくれたもの
なんか、この人の笑った顔好きやな…。
なんていうか、うまいこと言えへんけど、つられて笑ってしまう。

しばらくして、彩夏の降りる駅に近づいてきた。
「彩夏はどこで降りるん?」
「次の駅やで。空広は?」
あたし達はもう、名前で呼びあう仲になっていた。
「俺は次の次。」
彩夏は、初めて会ったばかりの人とこんなに短時間で仲良くなったのは初めてだった。
それはきっと、空広の人なつっこい性格のせいだろう。
そんなことを考えていると、彩夏の降りる駅についた。
「じゃあ、あたし行くわ」
彩夏は立ち上がった。
「おぅ。またな!」
そう言って手を振る彼。
彩夏は“またな”と言った彼の言葉がなんだか嬉しかった。
もしかしたら、もう会うことはないかもしれへん。でも、近くに住んでるんやから、もしかしたら会うことがあるかもしれへん。
もし会えたら、今日みたいに楽しくしゃべりたい。
いつかの再会を想像して、彩夏は頬を緩ませた。




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