【短】涙が出るほど好きだった




「あ…の。大丈夫…ですか…?」




「…え?」





たまらなくなって飛び出して、ハンカチを渡した。





「見られちゃってたか……。」





彼は無理に笑った後、”汚れるから”とハンカチを差し出したあたしの手をひっこめた。




こんなときでも優しくて、こっとが苦しくなる。





「…奏くん。あたしのこと知ってますか?」




「…A組の伊東 柚姫さんだろ?知ってるよ。」




知っていてくれたことより、また無理して笑った彼をみて、胸が締め付けられる。







「…奏くん。」




「…なに?」








「気にする事…ないと思います。」







「え?」






もう



止められない。








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