人形姫~Where is Princess's mind?~
この日からは、部活のない日常が始まった。
直との約束通り、いつもの海に行くが、まだ彼はいなかった。
まあ、時間を指定したわけじゃないから、当然と言えば当然だ。
早く来すぎちゃったかな?っとか思っていると、彼が来るのが見えて、思わずかけだしていた。
彼はそんな私を見つけると、不意に抱きしめてきた。
“キャッ”
驚いて小さく悲鳴を上げるも、彼は気にしないというように尋ねてきた。
“詩音可愛い。今日はどうしたの?”
“私、直の連絡先知らないなぁと思って”
そう。私たちは2年も前からずっと逢っているのに、お互いの連絡先を知らない。
私たちを繋ぐのは、この海と陸上の大会だけだった。
“そう言えばそうだな。・・・フッ、何か変な感じだな。俺たち2年も逢ってるのにな”