人形姫~Where is Princess's mind?~

“詩音―…”

漸く気がついた彼が私の名前を呼ぶ。

”どうしたの?”

なんとなく、彼の悩みは分かっていた。
それなのに、あえて尋ねる私は鬼なのだろうか?

”・・・”

やはり、予想していた通り答えは返ってこなかった。

”大学が決まらないの?”

この前の様子からして分かりきっていたことをずばりと聞く。

”えっと・・・、まぁ―”

言葉を濁す彼だけど、きっと彼なりの答えはあるのに、これを誰かに反対されたかなんかしたのだろう。

彼にしては珍しいことだけれど、周りの言葉に不安になっているのだろう。

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