人形姫~Where is Princess's mind?~
“えっ?由利奈先輩…?どうしてここに?”
“ああ、そっか。詩音知らなかったよね。うちの弟が陸上やってて、やっと予選通ってここまでこれたから、応援に来たの。ってか、私こそびっくりした”
“高校に入って、私も陸上に乗り換えたんです。うちの高校お嬢様バレーやってて、ついていけそうになかったんでね”
“ハハッ、詩音らしいは。ってか、優勝おめでとう。また今度会おうね”
“ありがとうございます”
そう言って、私は歩きだす。由利奈先輩は、1番仲の良かった先輩で、何かと面倒を見てくれた。会えたことが嬉しくて、完全に‘弟の存在を忘れていた…。
“詩音すごいじゃん、1位”
“さすが、うちの期待のランナーだよね”
“違うでしょ。さすがは私のかわいい彼女じゃない?”
“由貴、私いつ由貴の彼女になったの?”
“もう照れちゃって”
“まあいいや、由貴、綾、凛、沙織、次のリレー頑張ってね”
“まかしといて”
4人は、自信に満ちた顔で私を見ると、競技場に向かった。
“詩音おめでとう”
他の部員たちも喜んでくれた。