カゴの鳥
詠唱を完成させたと同時に真木は地面に倒れた。


それを見た僕は真木に近づき膝をついて様子を確認した。


真木の口からは規則的な寝息が聞こえる。


よし。


成功だ。


真木を訓練場の隅に移動させてから僕は先輩の元に向かおうと立ち上がった……しかし、ふらついて地面にまた膝をついてしまった。


「やっぱり、ちょっとやり過ぎたかな…」


利都が行なった魔法は人の意識を操るものだ。


魔法薬を補助に使ったとはいえ他人を操るのだから、かなりの魔力と精神力を浪費する。


ーでも、これは本番ではないんだからやっぱりあまり人を傷つけたくはない。


相手は真木だ、少しぐらいのダメージでは倒せなかったはずだ。


それに高度な攻撃魔法が使えることはあまり知られたくない。


基礎はみんな3年迄に習うからいいが……


最初に使った魔法やカマイタチは低位魔法だ。


いわば、このアカデミーに通っているのならば魔力がある者はみんな使える。


少ししゃがんでいたから目眩は治まった。


「さて、伊織の所に行かなくちゃ」


僕は先輩たちが戦っている方へ歩きだした。


すぐに二人の姿を見つけた。



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