カゴの鳥
先輩と篠原先輩は少し距離をとって対峙していた。


……膠着状態?


まぁ、ちょうどいいか。


今度こそ!


僕は篠原先輩の足元を狙って攻撃した。


【切り裂け】


「うわっ!」


篠原先輩は驚きながらも避けきった。


……やっぱり強いな


「あっ、利都ちゃん。おかえり~♪」


「……伊織」


先輩の反応は場の空気と全く合っていなかった。


「おいっ!真木はどうした」


篠原先輩が少し焦ったように聞いてきたので僕はこたえた。


「真木なら訓練場の隅で眠っていますよ」


「……と言うことは、真木は負けたんだな」


篠原先輩は悔しそうに確認してきた。


「…まぁ、そういうことになります」


「くそっ!」


地面を蹴った。


そんな篠原先輩を横目に先輩が僕に質問した。


「ねぇ、利都ちゃん。眠ってるってどういうこと?」


「?……言葉のまんまだよ」


どういうことだ?


「そうじゃなくて、どうして眠ってるのかってこと」


わかる?と再度先輩に聞かれた。


そう言うことか!


僕は先輩の質問の意味を理解した。


「真木は魔法で眠らせました」





< 49 / 68 >

この作品をシェア

pagetop