カゴの鳥
先輩は笑顔を一旦僕に向けてから


「よっ」


先輩は篠原先輩の剣を跳ね返し、僕から篠原先輩を遠ざけてくれた。


これなら魔法が使える。


「伊織!少しだけ時間を稼いでください。そうしたら、篠原先輩の動きを止めてみせます」


僕は先輩に聞こえるように叫んだ。


先輩は一瞬だけこちらを見て


「了~解♪」


「やらせるか!」


そう言って篠原先輩がもう一度僕を狙ってきたが、これも先輩が防いでくれた。


今のうちに!


先輩も疲れてるだろうし……


何より長引くと僕は完全に不利だ。


【空気中に存在する水よ、姿を我の前に示せ】


「クソー、詠唱始めやがった」


「利都ちゃんの所には行かせないよ。篠原」


「うるせー、俺は一人でもお前に勝つ!!」


「勝つのはオレだよ」


僕は呪文を唱えるなか、先輩たちの声が聞こえていた。


【水よ、姿を変え我らが敵の動きを止めよ】


僕が呪文を唱えている間、空中に水分が現れ、それがどんどん氷の粒子になっていった。


【拘束】


最後に"拘束"の言葉と共に標的である篠原先輩に向けて腕を振った。






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