カゴの鳥
そうすると、氷の粒が篠原先輩の足めがけてとんでいった。


「!うわっ」


篠原先輩は何とか逃れようと動いているが、どんどん氷はまとわりついていく。


「くそっ、氷が砕けねぇ…」


そして、一分もしないうちに篠原先輩の足は地面に固定された。


「伊織、拘束完了です」


「オッケー♪ありがとう。利都ちゃん」


そう言って先輩は篠原先輩の鎌を首にかける様にして近づけた。


「さて、と。降参しろ♪し・の・は・ら」


……先輩楽しそう。


「…………」


篠原先輩は悔しそうに睨みながらまだ、氷からぬけだそうとしている。


「篠原、魔法で出来た物は普通の氷みたいにそう簡単に溶けないことくらい知ってるだろ?」


少し呆れたように先輩が言うと篠原先輩は何か言いかえそうとしたようだが、それをのみこんで


「……………参りました」


たっぷり間をおいてからとても小さな声で言った。


篠原先輩は本当に悔しいんだ。


一方、先輩は篠原先輩の言葉を聞くとにっこり笑った。


そして、大きな声で


「決着しました」


と言った。


《試合終了、勝者、南・北条ペア。各々退場し、反省会を行うように》



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