カゴの鳥
「伊織といる時間が一番長いよ？」


最初のうちはどうすればいいのかわからずかなり焦っていたものだ。


「でもっずるいの♪」


先輩は笑顔でそう言って顔を近づけてくる。


……うぅ


やっぱり馴れない……かも


「ふふ、伊織は本当に北条くんがお気に入りなんですね」


僕がどうしたものか悩んでいると、神代先輩が話しかけてきた。


「そう♪利都ちゃんはオレの相棒だからね」


「わっ！」


僕は言葉と同時に先輩に抱きつかれていた。


「珍しいですよね、本当に。自分からスキンシップをとるのも驚きです」


さして驚いているようにはみうけられない。


「いつもは違うんですか？」


神代先輩の言葉が気になったようで志水が神代先輩に質問した。


「そうだね、でも雰囲気は今のままだよ」


「じゃあ……？」


志水は神代の言いたいことをいまいち理解しきれていないようで首を傾げている。


「自分から他人に触ろうとしないんですよ、伊織は」


「あぁ、そう言うことですか。……あれ？でも」


志水も不思議に思ったようだ。


伊織はしょっちゅう利都に触っている。




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